by masaki77411
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
今日は先日紹介した、OBJECTのレセプショニスト・フランソワの家に行って来ました。
ハリウッドブルバードから北にワンブロックの古いアパートが立ち並ぶ住宅地に彼のアパートはあります。日曜日の夕方4時、ロサンゼルスの日はまだまだ高いです。西海岸の乾いた空気とは違う、湿った匂いがアパートの建物の中には充満しています。 正面玄関のロビーにはシャンデリア、誰かが捨てた猫足のダイニングテーブルには裸のレコード、アンティークで扉が手動式の狭いエレベーターを過ぎて、一階の薄暗い廊下のつきあたり103号室が彼の部屋。 チャイムを押しても返事が無いので、勝手にドアを開けて入ると玄関にはくしゃくしゃに丸められた新聞紙。 「今日はパーティーだから特別にエントランスを飾っておいたよ。」どこかで拾ってきた車椅子に座ったフランソワはすでに酔っ払っている。 「じゃあ聞くけど、夜中に道を歩いていて俺がマサキの正面から歩いてくるとするよ、その時オマエはオレを襲って金を取ろうとする思うか?普通は俺を見たらみんなオレから金を取られるんじゃないかって心配するんじゃない?だからオレにとっては安全なんだ。」 本当にその通り。夜中にこんな怪しいのには会いたくない。 つられて笑っているとブラックの彼女カメールが口をはさむ、「わたしはこの辺は、イカレタやつが多いからウンザリ・・・。」彼女はシャイで無口だけど、とても優しくて、話しているとなんだか落ち着く不思議なキャラの持ち主で、フランソワの世話をいつも焼いている。 「ハリウッドが好きな理由はよく分からないけど、オレがここを気に入ってるのは間違いない。全部に理由があったら大変だよ。そんなもんじゃないのかな?『分からない事が分かっている』って感じ、そういうの嫌いじゃないし。強いて言うならロックがある。ロックはどこにでもあるから理由にはならないな・・・」。 日本のガレージロックバンド「The5678th」のレコードをかけながら彼が言った「このバンドは最高だよ。この子たちがハリウッドでライブをしたとき、オレは楽屋に関係者のふりして入ったんだけど『感激しました』ってハグしてキスしたら彼女達みんな驚いてたよ。これは完璧なロックだよ、日本人の女の子がこんな音だすなんて・・・。」 時折ため息交じりでフランソワオリジナルの感嘆詞「ガーイ」を発しながらレコードを聴いている。ちなみに『ガーイ』は『オーマイゴッド』のようなものらしい、でも神様の名前をあんまり色んな所で使いたくないとの理由で、言葉を考えて作ったのが『ガーイ』・・・。どうでもいいちゃどうでもいいですけど、私はこの言葉はけっこう好きです。 「ピエロのメイクしてもいいかな?」 突拍子も無い事を言い出したので一瞬と惑ったが、自由にしていいよと言うと鏡の前で左目に一本線を縦に引く。 彼のバスルームにの扉にはカラフルなマジックで『CROWN ROOM』の張り紙がある。 トイレのタンクには古いラジカセが置いてあり、ラジオがかけっぱなし、つねにロックが流れている。壁一面にピエロの人形、バスタブの上の天井付近の壁には彼が描いたピエロの絵が飾ってある。落ち着く場所ではないが、サイケデリックないい空間。 「たくさんピエロがいるだろ。ここのピエロはみんなどっかがおかしいんだ。ほらあのピエロ見てよ、手にナイフ(ちなみにフランソワが銀紙で作った)持ってる!こっちのはマシンガン!タバコ吸ってるやつも、アル中のもいる!オレは皆本当はピエロだって考えるのが好きなんだ。あの絵の真ん中にいるのを見て、顔がぐちゃぐちゃになってるの、泣いてるんだよアレは、あれはオレ。』静かにフランソワが言う。時折彼は本気で悲しそうな声を出す。 「悲しいときもあるよ・・・今ごろブドカン(武道館)でコンサートしているはずだったんだ・・・。なんでオレはこんな生活してるんだ?洗車したり、サロンのレセプションしたり・・・。なんで・・・。」 突然半べそになる彼を心配して覗き込むと、「just kidding.どこまで本気かわかんないだろ?だってオレは役者。」もうふざけて笑っている。 「オレは自分がその日飲むビールの分稼げれば、お金も要らない。それで充分楽しいから。オレの事世捨て人っていうやつもいるけど、自分とは全く別個に世の中ってモノが存在してるって思っているやつらが言っているだけで、オレはいたってまじめにオレの人生を生きてるんだ。」 彼はこう言い切る。なかなか言える言葉じゃない。 「へーイ!ここは、ウエストコースト。そんなに急いでどこ行くんだよ!ベイビー!」 ハリウッドブルバードを横断した時に、クラクションを鳴らした車にフランソワが叫んだ。 知らなかったリアルハリウッドライフがそこにあった。
by masaki77411
| 2006-04-10 17:07
| LosAngeles ローカル情報
|
ファン申請 |
||